4.紫陽花の季節、夏までのカウントダウン

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 そんな或る日、シュウちゃんから電話があった。俺は、なんだか不吉な予感がした。  「柿沢洋子のこと、いろいろ調べてもらったんですけど。」と声が暗い。  「うん、どうした?病気か何か?」  「いえ、既に亡くなっていたんです。」  「えっ!いつ?」  「今年の3月の終わりらしいんですよ。」  「俺が逢った頃じゃないか!」  「いいですか、真知さん。これから彼女んちに案内するので一緒に行けますか?」   「あぁ、いいよ、君の頼みとならば。」  「じゃあ、これからそちらに行きますので、家にいてくださいね。」  シュウちゃんが車で連れてってくれたのは、板橋本町のスナックだった。柿沢洋子がママをやっていた店で、中に入ると、後を継いだ娘さんが私たちを迎えてくれた。まだ6時過ぎだったので、客は他にいない。彼女にそっくりの娘さんは、ぽつぽつと言葉少なに洋子の最期について語り出す。  「昨年の秋に体調を崩して、大学病院で検査を受けたら、末期がんがわかって、それから治療もしたんですけど良くならなくて。あれよあれよという間に亡くなりました。ここ数年、もう一度ステージで歌いたいって、ずっと言ってました。」  
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