5人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
俺は、老いた自分の失態を二人に披露して、羞恥心から早々に切り上げて帰ろうと思ったが、曜子がそうはさせてくれなかった。
「先生、洋子さんに作ってあがるんなら、私にもお願いします。」と言う。
「そうだな。でも、昔のように書けなくなってて。」
「待ちますよ、私。発売は、秋だって構いませんから。私、今でも冬はディナー・ショーやってるんですよ。それに間に合えば。」
「真知さん、私からもお願いしますよ。」と今度は、シュウちゃんが助け舟を出す。
「わかった。わかったよ。書くよ。『二人のヨウコ』ってタイトルどうだい?」
「いいですねぇ。なんか、らしくて。」とシュウちゃん。
曜子は、話の展開に満足して頷いている。
「それで、一つ頼みたいことがあるんだけど、曜子ちゃん。柿沢の方の洋子ちゃんに上手く伝えてくれないかなぁ。俺が二人のために作詞するってことを。」と俺。
「いいですよ。」と曜子。
「そうだ!」と急にシュウちゃんが声を張り上げる。
「『歌の日』の目玉企画にしましょうよ。『二人のヨウコ』、いいじゃないですか。」
その場凌ぎで言った話なのだが、勝手にどんどん進んで行ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!