第2話 戸惑い

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「なるほどね、俺と君は糸で結ばれてるけど、君には他に好きな人がいるから俺との縁を切りたいってわけね」 体育館裏の壁に寄りかかり、二人は並んで座っていた。 花蜜は特にバカにするでも信じないでもなく、すんなりと花乃子の話を受け入れてくれた。 そのことに、少なからず花乃子は驚いていた。 「その、いきなりこんな話してごめんなさい。信じられないかもしれないけど、私も、信じたくないんだけど……でも、これは事実で…」 並んで座ると、結ばれた糸はよくわかった。 今も糸は目の前でふよふよと漂っていて、花乃子と花蜜の小指を呑気に結び付けている。 知った時は愕然としてショックだったが、救いがあるのはまだ糸が白いことだ。 この場合、まだ強く結ばれてはいない証拠だ。 花蜜はハハッと笑った。 笑う顔が可愛くて、不覚にもキュンとしてしまう。 慌てて頭を左右に振り、ベシッと己の頬を叩いた。 (くそ…!これが糸の威力なのか…!?) またも愕然とする花乃子に、花蜜が笑いながら言った。 「噂では知ってたからさ、この学校に運命の糸が見える女の子がいるって。まさか昨日サッカーボールぶつけた子とはね。しかも俺の運命の相手とか」 花乃子は慌てて言った。 「でも、まだ完璧に結ばれたわけじゃないから…!」 目を丸くする花蜜に、花乃子は続けた。 「糸はね、まだ白いから。赤くなっちゃうと、結ばれるけど、でも、私達のは、まだ可能性の段階だから…!」 「可能性…」 「だからね、協力して欲しいの。運命が私達を結び付けようとしてくるなら、そのフラグを全部叩きわってやろうと思うの…!そしたら、花蜜くんと私の縁もきっと切れるよ。ちなみに、うちの両親も切れちゃったから」 「あー、だから…」 「だから、お願いします…!」 花蜜は少しだけ考える素振りを見せたあと、あっけらかんと頷いた。
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