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「いいよ、全然」
「ほ、ほんと…!?」
「なんか一方的に振られた感じになってるのがウケるけど」
「ご、ごめん…!」
「いーって。まぁ、せっかく可愛い彼女が出来るチャンスだったのに、速攻振られるっつーのも残念な話だけどさ」
(か、可愛い…!?)
不覚にも赤くなってしまう。
花乃子は急いで批難した。
「だめ!NGワード!そういう事言っちゃだめ!」
「へ?」
「か、かかかかか可愛いとか、そういう事私には絶対言っちゃだめなの!運命の思う壷!」
花蜜はビックリして目を瞬かせると、ぶはっと吹き出して笑った。
「了解、気を付けるよ。つーか、縁を切るって、具体的にどうすればいいの?あ、サッカーボールぶつけてこうなったなら、もう1回サッカーボールぶつけてみるとか?」
じっとりとした視線で無言の圧力をかけると、「冗談だってば」と花蜜が苦笑した。
花乃子は気を取り直して真剣な顔をする。
ここに来るまでに、色々考えたのだ。
「今後、極力関わらないようにしたいの。学校でも出会わないように、話さないように。運命の力ってどこまで影響があるのかわからないけど、用心するに越したことないから。それと、お互いに、絶対好きになっちゃだめってとこ、かな」
花蜜は「ふーん」と頷く。
「なるほどね。じゃあ、お互い好きな人いるから、その辺はクリア出来てるわけだ」
「花蜜くん、好きな人いるの?」
その問いに、花蜜は照れたように笑う。
「まぁ、お年頃ですからね」
花乃子はホッとした。
「そうなんだ、なら良かった」
「んじゃ、俺はこれから渡瀬さんに近付かなきゃいいわけね」
花蜜は「よいしょ」と立ち上がると、ぐっと伸びをした。
「んじゃ、こっからは赤の他人ってことで。でも良かったね、繋がった相手が俺で」
「え?」
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