第2話 戸惑い

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担任の言葉に、花乃子はハッと青ざめる。 「そ、そうです!」 「視聴覚室で説明会あるって言っただろー。早くしろ」 「すみません、今行きます!」 花乃子は慌てて机の上の筆箱を引っ掴むと、郁美に「ごめん、行ってくるね!」と言いおいて教室を飛び出した。 (わぁぁぁぁ、最悪だぁぁぁ、すっかり忘れてたぁぁぁぁ) 半泣きになりながら階段を駆け上がる。 急いで視聴覚室の扉を開けると、中では各々のクラスの代表者が静かに座っていて、教師による説明が既に始まっていた。 「あなた、何年何組?」 教師の厳しい視線に、ひぃっと背筋を凍らせながら、「はい!」と姿勢を正す。 「一年一組、渡瀬花乃子です!遅れて申し訳ありません!」 「はい、これオリエンテーションの冊子。空いてる所に適当に座ってくれる?」 「はい……!」 心の中で泣きながら、空いている席を探す。 後ろの窓際に空いている席を見つけて、花乃子は急いでそこに腰を下ろした。 長テーブルの上で冊子を広げ、小さくなりながら必死で読まれている項を探す。 すると、隣の誰かがクスッと笑った。 ハッとして隣を見ると、見覚えのある顔がそこにあった。 「関わらないようにって約束したのに、早速会っちゃったね」 ニッと曇りのない笑顔が眩しい。 それに反するように、花乃子は途端に真っ青になった。 「は、はははは花蜜くん……!?」 「もしかしてこれが糸の威力ってやつなの?やっぱり渡瀬さんの言ってる事ってほんとだったのな」 呑気に言う彼に愕然としながらも、花乃子はキッと花蜜を睨んだ。 「ほ、本当だって言ったでしょ。だから、すっごく勇気だして、あんなお願いしたんだよ…!」 「ごめんごめん、疑ってるつもりなかったけど、やっぱりはいそうですか、って、すんなり信じられないっつーかさ。でも大丈夫、約束は守るから」 花乃子はじっとりと彼を見つめる。 「そこうるさいよ」と教師の注意に、「すんませーん」と返しながら、花蜜は冊子に目を落とした。 (くそ、糸が引き合わせようとしている…!) むしゃくしゃする思いで花乃子も冊子に目を落とす。 すると、花蜜が言った。 「あ、今4ページだから」 「あり…………は、話しかけないでくれるかな」 「なんで?」 「か、関わらないようにって言ったでしょ!?」 「あ、そっか」
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