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「…………」
「あのさ」
「なに!?」
「そこ、レクリエーションのアンケート、早く書いといた方がいいよ」
「どうもありがとう!でも、話しかけないで…!」
「へいへい」
「………………」
「あ、そこじゃなくて、こっちのページ…」
「花蜜くん!話しかけないでって言ってるでょ!?」
勢い余って大きな声で叫んでしまう。
そこに居た生徒達が驚いて一斉にこちらに向いた。
「遅れてきてお喋りとはいい度胸ね、渡瀬さん。この後アンケートの回収とまとめるの、よろしく頼んだわね」
教師の苛立った顔が、花乃子を絶望させたのだった。
クラスの代表者が続々と帰って行く中、花乃子は泣く泣く回収したアンケートをまとめていた。
(くそぅ、花蜜くんのせいだ…!)
心の中で恨めしく思っていると、てっきり帰ったと思っていた花蜜が前の席に座ってきた。
「俺のせいでもあるから、手伝うよ」
そう声をかけてくれたが、苛立ちも手伝って素直に頷けなかった。
プリントにガリガリと鉛筆を走らせながら、花乃子は素っ気なく言った。
「いいよ、大丈夫だから」
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