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僕はこの『出来損ない』という言葉を他のアンドロイド達から投げられて裏で嘲笑われる度に、この世界に対する自分自身の存在価値を頻りに問うては自己嫌悪に陥り、自分を消したいと願う度に自分という出来損ないを創造した博士を恨んだ。
人類が滅亡すると分かっている昔の地球なら自分の不必要性なんて目に見えて分かる筈なのに、どうして自分を創造した博士はそれでも自分の様なデータを持ったアンドロイドを創ろうと考えたのだろうかと、ふとした時に考えているのはこの事ばかりだった。
御陰様で今日中に達成させなければならないとされる任務が何一つとして出来ていない。
成るべく早く達成しないと僕のコンピュータの電源がいつ切れてしまうかも分からないし、何より後数時間としたら全てのアンドロイド達は本部から電源を強制的に落とされて『就寝』に入らなければならないから、どちらにせよ僕に多く時間は残されていないのだ。
若干の焦りを覚えながら太腿に装着されているタブレットに手を掛けた僕は、液晶に表示されている今日の任務を見て僅かに皺を寄せた。
この丘から程近い第五十区付近での仕事が主となっている御陰で所要時間は其処まで掛からないが、雪から発掘された人間の遺物の運搬や解析申請の手続き等、明らかに任務内容の方が時間が掛かりそうだと自身のコンピュータが瞬時に判断する。
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