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そう言ってお母さんはコップを受け取る。
一口二口、口を付けたコップをベッドサイドに置くとお母さんはせき込んだ。
ゴホ、ゴホ、ゴボ。
粘着質な音がする。
咳をするときに当てた手が離れると白い粒が付いている。
さすがに具合が悪い時にはおかゆとかを食べたのかと思った。
違う。
お米なんかじゃない。
蛆だ。
お母さんの手の上を蛆がのたうち回っている。
何匹も何匹も白い虫がニョロニョロと手の上を這っている。
見間違いなんかじゃない。くの字に曲がっているのもよく見える。
なんだこれは。
お母さんは驚いてもいないし別に普通だ。
普通にティッシュをとって、普通に手を拭いて、普通に捨てた。
まるでそれが普通の事であるような動きが、表情がとても恐ろしい。
「え?今の何?」
私が聞くと、お母さんはまるで当たり前の様に「たまにあるのよ。お腹の中から蛆が出てくることが。後、爪を切ってると爪の隙間からも出てくるわよ。」と言った。
それで、唐突にこの前お母さんが話していた話を思い出した。
あれは、何かの比喩でもなんでもなく、本当に蛆と間違えるから気持ちが悪いと言っていたんだ。
「何かの病気とかじゃないの!?」
「ちゃんと検査してもらったよ。どこも異常なし!見間違いなんだって。」
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