1人が本棚に入れています
本棚に追加
その間際に入れ違いでに乗ってきた小学生低学年くらいの女の子が、大声で泣き始めたの。その声に扉が閉まる寸前で車内を振り返ったら、女は小学生をまたじーっと見詰めてたんだ。
あまりにも怖かったから一緒に乗ってたお母さんに、その女の人の事を言うと少し不機嫌な顔になった。
「居た、気はした」
ただそれだけしか答えてくれなかった。厳密に言うと答えられなかったのかも知れないね。
雰囲気は感じ取れたけど、ちゃんと見えなかったってことかもしれない。
でも、今こうして冷静になって話してみると、怖い事があるんだよね。
あの女の人は自分が見える人を代わる代わる見詰めているみたいだった。じゃあもしあの電車の最終電車で女が見えたら、どうなるんだろう。
姿が見えなくなるまで、車内から後ろ姿を見詰める?
私は、あの人何処までも付い着いてくると思うんだよね。
また見える人に出会えるまで、最後に見えた人の後ろをずーっと。なぜだか分からないけど、そんな気がするんだ。
そうなると、今度は街中であったりするのかな。
だからあの女が着いてきそうになったら、人通りの多い所を通って帰った方がいいよ。きっと誰かに押し付けるまで、ずーっとあの焼けただれた口元でニヤリと笑うんだから。
最初のコメントを投稿しよう!