何度でも思い出せるなら

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 ワンピースの女性が振り向いた。なんだか、顔まで昔の妻に似ている。ずっと一緒に居たいと思って、勇気を振り絞ってプロポーズした頃の。 「よかった!」  ワンピースの女性は俺を見て満面の笑みを浮かべると、こちらへ駆け寄ってきた。その声には聞き覚えがある。顔まで似ていて声も同じ、ということは。 「ママ!?」  思わず大声で叫んでしまった。 「ちょっとー、こんな町中でママとか大声で言わないでよ。恥ずかしいでしょ。今は子どもも連れていないのに」 「あ、ごめん」  ワンピースの女性は、紛れもなく毎日会っているはずの妻だった。、 「その格好どうしたの!? なんでここに?」 「久しぶりに着てみたんだけど変かな?」 「そ、そんなことは無いよ」  僕はぶんぶんと首を横に振る。
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