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カズキは胡蝶蘭が開店した時にレイと同時に入店したらしく、モトイが雇われたときすでに胡蝶蘭のホストとして在籍していた。
ふたりは同い年で、どうやら胡蝶蘭が開店する以前からの知人同士のようだが、モトイは彼らの関係性について詳しく聞いていない。
ただ、言動の端々から、カズキの中で、レイに関することは何よりも優先度が高く設定されている、ということはすぐにわかった。
レイは感情が表に出づらく何を考えているのかわからないところがあるが、カズキはその逆で、自分の意志を言葉や態度に示すほうだ。
否、レイが感情を出さないから、その分をカズキが肩代わりしているようにも見える。
「申し訳なかったと、思ってる、」
モトイはうなだれ、覇気のない声で言った。
「レイが死んでても申し訳なかったで済むんだ」
「それ、は、」
今は謝ることしかできないモトイに対して、カズキの譴責は厳しい。
カズキにとって何をおいても一番に優先している存在であるレイが、救急車で運ばれて入院している、という事態は、謝罪されたからといって許せるものではないのだろう。
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