最後の夢

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「そういえば、三咲ちゃんは私たちを呼び捨てにしたことないよね?いつも秋留ちゃん、幸花ちゃんだった…。おかしいよ、あのメール。いきなり呼び捨てにして。でも、どうしてわざわざ殺したの?三咲ちゃんのお母さんは三咲ちゃんの歌手になる夢は握り潰したんだし、動機がないよ」 「ここからは臆測だけど、18歳になったら親が許可しなくてもオーディションは受けられるし、20歳になったら親が反対してもなんでも好きな道を選べる。そうなる前に、理想の優秀な娘のままでいて欲しかったんじゃないのかな?あのお母さんにとって、娘は常に自慢の娘でないと気が済まなかった。優秀で医者になって病院を継ぐような」 「そんなくだらない理由で人を殺すの?自分の子を?」 「思い違いであって欲しいよ。でも、この不自然な点に気がついた以上、私は警察に行って証言する。地元の名士、天野家を敵に回したら進学も就職も不利になるかもしれないけれど、それなら他県にでも東京にでも出ていく。大切な友だちを殺されて黙って見て見ぬフリは出来ないから」 秋留は私の震えてる腕をガシッと掴んで、 「私も。私たち三人でずっと一緒にやってきたんだもん。三咲ちゃんは自殺なんてしないよ、よく考えたら。『恋がかなうCD』の『precious love』の歌詞覚えてる?三咲ちゃんは『愛も夢も絶対いつか 叶う日が来る 諦めないで 光に向かって走り抜け』って自分で書いてるんだよ?私も天野家なんて怖くない。権力なんかに屈しないよ」     
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