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後悔の夜
薄手で透け感のある柔らかそうな桃色のドレスを着た少女が寝室の扉の前で「失礼致します。寝酒をお持ちしました。」と声をかける。中から返事は無かったがしばらく待つと寝室に入り、自分が持ち寄った蒸留酒とグラスが載った盆をベッドの横にあるナイトテーブルの上に置くと、枕に顔を埋めてピクリともしないジェドにゆっくりと近づき、ベッドの縁に腰を下ろした。
「王子…お休みでいらっしゃっいますか?」
少女は寝酒を運ぶだけの侍女では無い。
王位継承権は無い第四王子のジェドだが、数少ない王族の一員であり将来的には国中を渡り歩き視察・監査を王族の要人として行い、地域経済の活性化や、地方によって法整備が新たに必要な案件を持ち帰り施行を求めたり、関連土木事業を展開させたり、経済・環境整備事業省の頂点に立って国を支える人間になるのだ。
ジェド自身も地域ごとに文化が花開いた地方へ行き来する事は好きで特に経済に興味があり、今でも隙をみては竜を呼び城を抜け出し州都を周遊していた。
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