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「そんなこと言いに来ただけなら向こう行けよ」
シッシと手で追い払う。
「お前こそ、そろそろ戻ったほうが良いんじゃない?お茶する為だけにわざわざ離宮のサロンではなく後宮のサロンまで来るなんて。無駄嫌いのジェド様としたことがおかしいよね~。あれー?そう言えば、ここから中庭を抜けた先に見えてるのは授かる場所じゃないか。ここからなら入り口の様子が怪しまれずによく見える」
チッ。お見通しという訳か。ベニートはこういう勘だけは鋭い。
「そんなに睨むなよ。お前のその善くも悪くも大胆で、厚かましくて、自分勝手で、怖いもの無しの上、こうと決めたら何があろうと突き進むその頑固な性格を踏まえて考えりゃ直ぐに分かるよ」
凄い言われ様だが、強ち間違いでもない。ベニートの女たらしの陽気な軟派クソ野郎の性格が母方の血筋だとするなら、俺の性格のルーツも母上曰く、イスラエルの国民性なんだそうな。あちらの言葉でフツパーと言うそうだ。
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