出来心の召喚

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「別大陸?」 「ああ。実は7年程ではないが、過去に同じように2年召喚の儀が遅れた事があった。現国王陛下の花嫁であるイリス王妃。そう、お前のママンを迎える時だ。イタリアから地中海を挟んだ向かい側にある国だったが今までで一番東側となる」 頭の中にある歴代の花嫁達の継承で出来上がった異世界の世界地図を開く。不思議なことにあちらの世界は国が時代毎に拡大や収縮、分裂、増殖を繰り返している。その為その都度改訂している。 「つまり、かかった年月ほど離れた場所に花嫁がいると?」 ベニート曰く、これまでは召喚された花嫁は国や時代は違えど皆ヨーロッパ大陸から選ばれて来た。諸説あるが、もしかすると花嫁がこちらの世界の環境に直ぐに馴染む為にも俺達の世界の気候、風土が似ている環境の地域を意図して召喚しているのかもしれない。 選ぶのは召喚者でも司祭達でもない、王家の国宝である授ける姿見(アズランリヴス)が花嫁の居場所を探知するとあちら側とこちら側の空間を繋げるのだと。 王太子の召喚の条件がなかなか整わないのは繋げる先が遠過ぎて今まで見つけ出せずにいたと言う事だったのか。 「ママンが言うには『これほどまでに見つからなかったのはきっとヨーロッパの裏側にあるアメリカ大陸にいるんだわ!間違いないわね!』だってさ。ちなみにアメリカ大陸の南側の地域の国だと生まれつき褐色の肌で、瞳は大きく、胸と尻がプリプリしてボリューム満点!なのに腰はキュッと締まった魅惑的な女性が多いらしい。そんな話を聞いちゃうと正式な花嫁のお披露目が三ヶ月も先だなんて、そんなの待ちきれないよね~!」 あらぬ妄想に鼻の穴を膨らませてる女たらしを冷めた目で眺めながら考えを巡らせ、ある計画を立てた。
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