出来心の召喚

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授かる場所(アズランパラム)の廊下の壁は中庭に面している方がガラス張りになっている。 その長く続くその廊下に頭から覆った白く長い布を首に交差して巻きつけ、マスクをつけ、目だけが出ている異色の一団が現れた。 着ている服もドレープが付いた足元までの長さのと白衣と、手袋をつけている。 この一団は衛生管理局の研究員だ。 「話の通りだな」 「ママンが嘘つくはずないだろ?失礼な。」 俺達は奴らと全く同じ格好に変装して小声でヒソヒソと囁き合う。 花嫁が召喚された時、着ている服は勿論、大抵の場合何かしら直前まで持っていた物や乗っていた物など花嫁から付属した物が一緒に持ち込まれるそうだ。それを調査し、魔素と融合したり、物質を元素還元したり、複製をしたりと研究している機関がある。 また、持ち込まれた物の内、この世界にとっては害となるものが含まれる可能性がある為、一旦回収して研究所内の衛生管理局が全てのものに浄化作用を施す。 その為、儀式を見届けた国王陛下達が退出した後、直ぐに一団は異世界からの授かり物を受け取りに内部に入るのだ。     
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