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そもそも何で男なんだ!!
床に尻をついていようが手足がちんまりしていて背は低いのが分かる。見た目からして歳下かもしれない。眉尻が垂れ、ぽやっとした顔つきのそいつはこっちを見ておどおどしてるだけで何も返事をしない。
「聞いてんのか!ボケっとしやがって。お前みたいなずんぐりムックリの醜い男を俺が花嫁に選ぶはずがないだろ!ふざけんなよっ!とっとと今すぐ帰れ!」
口を動かせば切れた唇のところが引き攣ってジンジンと痛い。
怒鳴りつけてやっても全く反応せずにこちらを見ている男にめちゃくちゃ苛立った。俺は手を伸ばし、そいつの被っていた帽子を力尽くで奪い取った。
「あっ!」と反抗的な声を出しやがるのも益々ムカついて仕方がない。
そこに現れたのは信じられないくらい黒く短い毛に覆われた頭だった。何という珍妙な髪型なんだ!禿げたり、剃っている訳でもなく、毛は極めて短く均等に密集して生えている。信じられない!南のアメリカ大陸ではこの様な容姿が普通なのか?怯えたようにこちらを見てくる男から目を逸らし、奪い取った帽子を検分する。
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