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「やぁ、可愛い子チャン。今お帰りかい?」
「……そこを退け」
「あれ~冷たいんじゃない?助けを求めた誰かさんにはアッサリ裏切られ、置いてきぼりにされて楽しみにしてた花嫁には会えずじまい!研究所ではめちゃくちゃこき使われて散々な目にあったのに、恨み言も言わず会いに来てやった従兄弟対して酷くない?」
大袈裟に喚くベニートは俺の部屋のドアにもたれ掛かけて立っていた。勝手に廊下の夜警を追い払っている。そういえば、こいつの事をすっかり忘れていた。
とにかく今は相手をするにも疲れ過ぎている。
俺は無言で奴の肩を押しやり、ドアノブに手をかけた。
「ちょい待て。ジェドその傷どうした?」
目ざとく唇の傷を見つけると、良く診ようとして無理矢理顎を掴んで引き上げる。
「痛い!離せよ、触るな!」
首を振り抵抗して掴まれた手を振り払う。
「誰にやられた?」
「……違う。ちょっとコケただけだ。」
「……コケただけ…ねぇ?」
ふうんと片眉を上げて胡散臭そうにじっと見つめてくると、
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