最悪の出会い

9/10
266人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
「今夜は俺達とても眠れそうにないね。たくさん語り合いたい気分だよ。とっておきのリュカワインとモルクチーズを用意しよう。さぁ、一から説明してもらおうか?ベッリーノ(可愛い子チャン)?」 有無を言わせず俺の肩を抱くと部屋に押し入ろうとドアを押した。俺の肩を抱いた奴の手を剥がして捻りあげる。母上直伝の護身術クラヴ・マガと言うやつだ。『アーィッ!アィッ!』と痛がるベニートをドンと突き放し、ゆっくりと言い聞かせた。 「ベニート。何でも無いと言ってるだろ?…魔灯が消えて暗くて、地下の階段に躓いたんだよ!」 ベニートは授かる場所(アズランパラム)に入っていないから内部の様子は分からない。それに賭けた。 「……かっこ悪いから言いたくなかったんだ!地下に着いたら直ぐに何も出来ないうちに撤収するわ、召喚した花嫁はどこにも居ないわ、この俺が!椅子運んだり!グラス運んだり!あの中の片付けをやらされたんだ!挙げ句の果てには階段で躓いて顔をぶつけて怪我するわ、お前よりも俺の方がよっぽど散々だったんだよっ!」 言った内容はだいたい合ってる。散々だったのは真実だ。いや、それ以上に本当に最低最悪だった。 イラつく俺を見てベニートは腹を抱えて大笑いした。 「マンマミーア!! なんて可哀想な可愛い子チャンなんだ!俺が夜通し背中をポンポンして慰めてやろうじゃないか」 「ふざけんな!もう帰れ!」     
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!