箱の中の虫

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『この鉱虫はパチュラムの白が好みのようですね。このまま育つと白い魔石ができあがりますよ』 『ねぇ、僕これ飼いたい!カッコいい!』 『鉱虫の飼育は認められていません。魔石を採取するため、特別保護指定区域のみでの繁殖管理を行っております。保護繁殖指定の鉱虫の保護及び繁殖の適正化に関する法律(鉱虫保護法)に基づき、必要があると…』 『わかった!わかった!もういいっ!』 『……必要があると認められる地域を鉱虫保護区に設定し、個人的な保護・飼育を禁止しています。したがって、そのポケットの鉱虫を返してくださいますか?』 ちぇっとポケットから鉱虫を取り出して箱に戻す。 レイオンは良く出来ましたとばかりに、まだ美少年具合の抜け切れていないたおやかな美貌でニコリと微笑むと、 『よろしい。それでは続きを…』 『失礼いたします。レイオン様に至急の伝言がございます』 侍従の言葉にレイオンは席を立つ。 『一旦休憩を挟みましょう。王子にお茶の準備をお願いします』 給仕係がお辞儀をするとジェドを迎えに来た。 ジェドは素直に学習室の扉を開けて待つ侍女の横を通り抜けて居間に戻る。応接セットのテーブルにはアフタヌーンティーセットが既に設置されていた。     
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