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ようこそ魔街へ ~人外魔境異聞録~
はるか昔。人の世界に魔物が来襲した。圧倒的な武力、超常的な魔力を前に、人類は為す術がなかった。このままでは人界が魔物の手に堕ちてしまうと危惧した神々は、人類に対抗手段を授けた。それは、“魔法”であった。魔物と同じ魔力を扱いながらも、神の加護を賜った聖なる力。魔法を会得した人類は、みるみるうちに魔物を退けた。人類と魔物が対等に戦うようになり、やがて両者は和平を結んだ。いがみ合いながらも、同じ生き物として認め合い、一つの世界で共存していった。その平和は今日まで続いた──────。
◇
某月某日。本日もK市は晴天だった。
学校帰りの大通りはとにかく人が賑わっている。ここら辺はビルやホテル、複合型商業施設 (つまりでかいスーパー)などといった建物が大小さまざまに連なっている。
俺と同じ制服を着た学生の集団が喫茶店に寄ったり、ご老人がゆっくりと買い物を楽しんでいたり、外国人が地図とにらめっこしていたり。また、猫耳の生えた少女が野良猫と戯れたり、猪の獣人が煙草を吸っていたり、黄緑色の妖精が中空を漂っていたり。なんの変哲もない、いつも通りの平穏な日常がそこにあった。
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