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第一話 日常
勉強も運動もそこそこで、見た目がどうかは知らないが……たぶん、普通の高校二年生なんてこんなものだ。
「あ、お~い、今日部活は?」
「今日はパス。欲しい漫画の発売日なんだよ」
「その言い訳何度目だよ。まぁ、良いけど。じゃあ、また明日な」
呆れ顔のクラスメイトに適当に手を振って教室を出た。
たしかに何度目かわからない言い訳だが、今日は本当に漫画の発売日だったりする。だから、ちゃんと有言実行するため帰り道に本屋によって漫画の最新刊を購入し、帰路についた。
いつも通りに鍵を開けて家に入ったのだが……嫌な予感がする。
階段を駆け上がって自分の部屋のドアを開ければ、予感が当たった。
「あ、おかえり~」
「……ただいま。別に毎度毎度、俺の部屋じゃなくてもいいだろ」
「え~、だってこの部屋防音なんだもん」
「まぁ、窓の鍵を閉め忘れた俺のせいでもあるか」
目の前には俺のベッドの上で胡坐を掻いてエレキギターを抱える幼馴染。家が隣で窓を開ければすぐのところで繋がっているのを良いことに、頻繁に俺の部屋へとやってくる。迷惑ではあるが、本当に嫌なら窓の施錠を忘れたりしない。
「着替えるから向こう向いとけ」
「は~い」
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