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汗を拭きながら家に入れば、二階から降りてきた冷気が体を冷ましてくれる。
「あっちぃな」
キッチンに向かって買ってきた飲み物を冷蔵庫に仕舞い、代わりに取り出した麦茶を氷の入れたコップに注いで部屋へと向かった。
ドアを開ければ、わざとらしく視線を逸らしたみのりに気が付いた。けれど、気付かぬ振りをして座り、テーブルに麦茶を二つ置けばジャンッ、とギターを鳴らしてきた。お礼を言ったつもりか?
「買ってきたチョコミントは冷蔵庫に入れたから。あとで適当に飲めよ」
「ん、ありがと」
機嫌の悪い理由がわからないのだが、俺のせいか? いや、俺のせいなんだろうな。間違いなくその不機嫌は俺に向けられているし。
「え~っと、みのりさん? さすがの俺でも身に覚えのないことでは謝りようが無いんだけど?」
すると、こちらに居直ってギターを抱きかかえた。
「……ゆるふわパーマちゃん」
そう言って指差されたのは道路側に面した窓だった。
「ゆるふわ……? ああ、久住のことか?」
「いや、名前は知らないけど」
「同じクラスの久住楓。まぁ、俺も名前を知ったのは今日なんだけど。二年から転入してきた奴で、すぐそこのマンションに越してきたらしい」
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