第一話 日常

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 エアコンの利いた部屋でギターの音色を聞きながら漫画を読み終えて、窓の外を確認すれば若干、日が傾いていた。さすがに七月ともなれば日が長いな。 「コンビニ行ってくるけど何かいるか?」 「じゃあチョコミントの何か」 「ああ、もうそんな時期か。よく食えるよな、あんなの。歯磨き粉じゃねぇか」 「歯磨き粉じゃ~ないっ!」  ジャンッ、じゃねぇよ。小気味よくギター鳴らすんじゃねぇ。 「まぁ、見てくるだけ見てくるわ。んじゃ、留守番よろしく」  家から一歩出た途端に熱気が襲い掛かってくるようで後退りするが、コンビニまでは徒歩十五分くらいだ。欲しいもののためにはそれくらいの労は請け負おう。  っ――っつい!  これは想像以上だな。昼間に比べればマシだが、こんな暑さの中で部活をやっている奴らは馬鹿だな。……ああ、うちの部は室内か。  つまり、頭が回らないほどの暑さってことだ。目的は飲み物だったが帰り掛けにアイスを食うのも有りだな――などと思っていると、目の前から同い年くらいの女子が棒アイスを食べながら歩いてきた。 「――ン~ンン~――」     
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