1人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
差し出されたアイスを見て、久住の顔を見る。
「……いや、いい」
「そっか。……そういえば今度近くでお祭りあるんやろ?」
「祭り? ああ、神社のほうのやつか。今度の土日だっけか」
「そうそう、それ。良かったら一緒に行かへん?」
「なんで俺だよ、っつーか京都出身なんだから祭りなんか珍しくないだろ」
「むっ。別に京都やからって毎日お祭りしているわけやないで?」
むくれっ面の久住を見て、まぁそれもそうかと思い直した。
「一緒に行くのは構わないが……もう一人誘ってもいいか?」
「ええけど――はっ、もしかして彼女?」
「さっきいねぇって言ったばっかりだろ。幼馴染だよ」
「嘘吐いてたって可能性もあるやんか。ふ~ん、そっか~、幼馴染か。もしかして女の子?」
アイスを食べ終えた口元で、ニヤリと笑って窺い見てきた。
「まぁ、一応女子だな。知ってるかわからないけど、隣のクラスの奴だよ。ほら、背の高いショートカットの」
「ん~? なんとな~くわかる? って感じやな。でも、ええな。幼馴染と仲良いんや」
「久住もいたのか? 幼馴染」
「おったなぁ。里桜と同じで女の子やったけど……ん~」
この感じはみのりで覚えがある。聞いてほしいってことだろう。
最初のコメントを投稿しよう!