第一話 日常

7/14

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
 差し出されたアイスを見て、久住の顔を見る。 「……いや、いい」 「そっか。……そういえば今度近くでお祭りあるんやろ?」 「祭り? ああ、神社のほうのやつか。今度の土日だっけか」 「そうそう、それ。良かったら一緒に行かへん?」 「なんで俺だよ、っつーか京都出身なんだから祭りなんか珍しくないだろ」 「むっ。別に京都やからって毎日お祭りしているわけやないで?」  むくれっ面の久住を見て、まぁそれもそうかと思い直した。 「一緒に行くのは構わないが……もう一人誘ってもいいか?」 「ええけど――はっ、もしかして彼女?」 「さっきいねぇって言ったばっかりだろ。幼馴染だよ」 「嘘吐いてたって可能性もあるやんか。ふ~ん、そっか~、幼馴染か。もしかして女の子?」  アイスを食べ終えた口元で、ニヤリと笑って窺い見てきた。 「まぁ、一応女子だな。知ってるかわからないけど、隣のクラスの奴だよ。ほら、背の高いショートカットの」 「ん~? なんとな~くわかる? って感じやな。でも、ええな。幼馴染と仲良いんや」 「久住もいたのか? 幼馴染」 「おったなぁ。里桜と同じで女の子やったけど……ん~」  この感じはみのりで覚えがある。聞いてほしいってことだろう。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加