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家まではあと十分くらいか。それまでの間なら話を聞くのも退屈しのぎになる。
「何があったのか訊いてもいいか?」
「ん~、そんなに面白い話でもないんやけどね。子供の頃から家も近所でよく遊んでていた子がいたんやけど、まぁ可愛らしい子でな。どこに行くんでもうちの後ろを付いてくるような子で、高校までずっと一緒で親友やと思ってたんやけど……一年位前にな? 告白されてん。好きやって、付き合ってほしいって」
「……幼馴染、女子って言ってなかったか?」
「そう。やから、女の子同士で恋愛感情として好きなんやって。別に、うちも同性同士の恋愛は肯定派やねんけど……その時に、ああ、うちは違うんやな、って思てしまって。断ったんやけど」
「まぁでも、女同士なら断ったところで関係性は変わらないだろ」
「と、思うやん? でも無理やった。それもそうやんな。だって、親友やと思てたんはうちだけで、向こうは違ったんやから。ほら、うちって可愛いやろ?」
「ん? いや……うん。まぁ、一般的に見れば可愛いんじゃないか?」
問い掛けが突然過ぎて、なんて答えるのが正解かわからなかった。
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