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「やろ? そのせいもあって男をとっかえひっかえにして遊んでるー、みたいな噂が広まってしもて。なんか……ようわからんよな? 女の子って」
つまり、幼馴染で親友だと思っていた子の告白を断った直後から、掌を返したような態度を取られて真実ではない嘘まで流された、と。わかりやすいが、嫌に壮絶だな。
「じゃあ、こっちの学校に来たのは……?」
「それは偶然、親の転勤が決まったからなんやけど。まぁ、おかげで後腐れも後ろ髪引かれることもなく来られたけどな」
「そうか。色々と大変だったんだな」
立ち止まってそう言うと、久住は驚いたように目を見開いて、恥ずかしそうにはにかんだ。
「あ~、はは。なんか柄にも無い話してもうた。かんにんな?」
「いや、訊いたのは俺だし別に謝る必要は無い。それに久住が学校でどういうキャラかは知らないが柄も何も無いだろ。久住は久住だしな。まぁ、話したのはほぼ初めてだが」
「ああ……あかんなぁ」
呟くような言葉はちゃんと聞こえていたが、意味がわからずに首を傾げると久住は目を細めて笑ってみせた。
「んふふ。気にせんといて。そういえば里桜の家は? この辺なん?」
「この辺っつーか、ここだな」
立てた親指で後ろの一軒家を差せば、目をぱちくりと開いた直後に胸に軽くパンチを貰った。
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