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1.うそはきらい
カツカツと、先生の白チョークが黒板を叩いてる。ふっと柔らかな風が僕の左頬を撫でた。辺りには、講義に集中する至って真面目な学生と、コソコソと楽しそうにおしゃべり会を開いている男女のグループがいる。
嘘です。
正確には、1.2行目が嘘っぱち。
...
...
...
やっぱり、ぜんぶ嘘。
窓際の席に柔らかな風なんて吹くわけもなく、容赦ない暴風が僕の顔、いや左半身を殴りつけた。
誰一人として講義なんて聞いてない。みーんな楽しそうにおしゃべりしてる。
そんなオシャレな大学な訳でもないし、偏差値も普通。自分で言うと結構響くものがあるね。いいけどさ。
おっとと、話がズレたね。
なんで、嘘をついたかと言うとね。これから話すお話は僕にとって何よりも大切な出来事なんだ。という事は、僕はもう全てを知っている。過去の話。実体験談みたいな事さ、、だから。
少しでも、綺麗に伝えたい。飾って話したい。
そんな事をしたらきっと彼女は怒るから正直になるよ。出来ればだけど。
これだけ聞くと、素敵な物語のように感じるね。
だが、残念!
このお話は腰抜け主人公とある女の子の
一瞬で散ってしまった悲しいお話。
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