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スタッフに光が呼ばれる。撮影が再開されるらしい。光はメイキングのカメラに手を振るとスタッフの元まで駆けていった。カメラの前に立つと、髪をセットされながら話を聞いている。光とカメラの距離を考えると、これから上半身を撮るようだ。スタッフの合図をきっかけに光が歌い出す。ダンスもなし、移動もなし。しかし、画面の中の光はその制限を感じさせないほどにくるくると表情を変える。
「すげえな……」
そう言葉を漏らした後、顔の横に気配を感じて振り向く。そこにはメイキングカメラが迫っていた。
「近っ」
「近藤さんが撮影してますけど、どう思われますか」
「どうって」
再び画面に目をやる。一度見てしまうと、なかなか目を離せなくなる。ダンスと歌と同じだった。これは一体何なのだろうか。晴夜は何度も考えたが、やはり答えは出ない。
「すごいなと思いますね」
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