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「おい、なあ、聞けよ」
晴夜の目の前に置かれたプリントにシャープペンシルが刺さる。そのすぐ横には晴夜の右手が置かれていた。突然の出来事に意識が戻ってくる。
「過激派……」
「お前がずっとぼーっとしてるからだろ、馬鹿みたいに口開けて」
「開けてねえよ」
光は小さな穴の空いたプリントと自身のプリントを交換する。彼はどうあがいても悪者になりきれないのだろう。
「どれだけショックか知らないけど、次頑張ればいいだろ。テレビ収録だってまだあるし、俺たちにはこれがある」
交換したプリントを叩く。そこには『リリースイベント(仮)スケジュール』と見出しがつけられていた。
「そんな腑抜けでいつまでもいられると周りが迷惑する」
分かってるよ。そう小さく返すが光の耳には届かないだろう。いつまでもうじうじしていられない。しかし、あの失敗が心に引っかかってしまい、本調子にはなかなか戻れないでいる。
「じゃあ、ステージ構成はこれで。グッズもこの辺りで大丈夫だと思います」
目の前で会議がまとまっていく。その言葉も晴夜の耳に入っては抜けていった。
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