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「そっちは楠くんだっけ。初めまして」
「あ、噂の楠くんだ!」
突然2人同時に声をかけられ、晴夜はただお辞儀をする。
「最近俺たちの中でめっちゃ話題になってんだよね、ポラリス! 特に素人の楠くんがさ。ダンス上手いしかっこいいしクールだしやばい!」
「うるさくてごめんね。こいつポラリスがデビューしてからずっとこうで」
「だってまじでかっこいいんだもん。まず顔が好き。俺めっちゃ好きな顔」
男に面と向かってここまで褒められた経験がない晴夜はどうしていいか分からず、はあとしか声が出ない。視界の端で、光が吹き出したのが見えている。
「美村と雨宮くんなら楽屋だよ。ここ進んだら左手に見えるから」
「また後でね」
晴夜と光は先輩2人に礼をして楽屋へと向かう。振り返ると、2人はまだ言い合いをしているようだった。
「いつもあんな感じなのか?」
「少なくとも俺が入った頃からずーっとあんな感じ。でも、ずっと2人で組んでやってきてた。で、同時期人気も実力も同じくらいあった美村さんや雨宮さんと組んでデビューした」
アイドルというのは仲良しこよしというイメージが強かったが、あんな人たちもいるのかと興味深かった。まあ、ポラリスは楽山と篠山みたいな関係ではなく、どちらかと険悪なものだが。
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