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頭上から幾多の光に照らされる。前には若い女性達が、ペンライトを持って今か今かとその時を待っていた。その集まりの手前と向こう側では大人達が忙しく動き回っている。
近藤光は、すうと深呼吸をして指定された場所へと立つ。それに続くように、楠晴夜もその隣に立った。慌ただしい空間に対し、2人の間の空気はとても静まり返っていた。
「足、引っ張るんじゃないぞ」
はっ、と晴夜は鼻で笑ってみせる。
「お前が俺の足、引っ張るんじゃねえぞ」
反論しようとしたが、光はそれもそうだとぐっと言葉を堪える。歌もダンスも魅せ方も、晴夜には、天才には敵わない。下唇を強く噛む。
目の前の大人達が次第に大人しくなっていく。スタジオ内のざわざわとした音も消えていった。
「それではポラリスのお2人で、今週発売のデビューシングル『Shining Smile』です。どうぞ」
MCの声が聴こえたかと思うと、耳元からイントロが流れ始めた。2人は目を閉じる。
いくぞ。
どちらからともなく手をぶつけると、1歩を踏み出した。
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