ゆうしゃりばんばん
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ゆうしゃりばんばん

王都を包む市壁の一画には、他と違って、真新しい石の積まれた場所がある。 まだ世界に魔法が溢れていた頃、魔法で作った滑らかな一枚岩の壁の一部だけを、人の手で積み、セメントで埋めた壁が塞いでいる。 十七年前に勇者ドナが、魔法で開けた穴の跡だ。 ばーん、ばーんと笑いながらあちこち破壊するドナに、彼女に付き従うアメデーオは呆けた顔で、 「魔法って……すごいものですねぇ」 と言った。 誉められたドナは、 「すごいでしょ!」 と自慢した。 十七年経った今のドナなら、当時のアメデーオの言いたかったことも解る。 久し振りの王都で、継ぎ接ぎの壁を見たドナは、つい先日のことを思い出した。 息子のメルと娘のジルが、魔法で物置小屋を半壊させたのだ。 どうにか自分達で修復させたものの、子供は壊すほどには直す方は得意でないようで、修繕住みの壁には所々凹凸が残っていた。 アメデーオが「君の方が酷かった、何せ、やったらやりっ放しだから」と笑うのを、ドナは不機嫌に睨み返していたけれど、実際の傷痕を見れば何とも言えない。 とは言え、やれと言ったのはアメデーオだ。 主犯は彼ではなかろうか、とドナは思う。