第0章【序章篇】

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第0章【序章篇】

プロローグ 見渡す限り、一面の荒野。 所々に虚しく生えている枯木が、吹き止まない風に煽られて折れそうな音を出す。 空もまた、一面灰色の雲に覆われている。 ここは、終わってしまった世界。 この世界に、僕はただひとり存在している。 僕は何だろう。 何故ここにいるのだろう。 分からない。 僕は、ただ存在しているだけの存在。 また、風が強く吹いた。 一瞬何も見えなくなった。 やがて風は過ぎ去った。 あ、誰かいる。 真っ黒な礼服を着た少年。 はじめて見る、僕以外の存在。 少年は僕の方を見ている。 少年には僕の存在が分かるのだろうか。 少年は僕の方に歩み寄ってきた。 「きみは、ひとりぼっちなの?」 少年は僕を見て言った。 確かに少年は僕を感じている。 僕は言葉も出せない。 ‥うん。 僕はただ頷いた。少年はそれを感じたようだ。 「おともだちに、なろう。」 少年はそう言った。 おともだち? おともだちって、何だっけ。 わからない。 でも、なにか憶えのある響きだ。
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