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第0章最終話『始まりの春風』
四月初め。
桜が鮮やかに咲き誇る中、御崎坂高校は新学期の始業式を迎えた。
始業式後、学年のクラス分けが発表された。
隆志はC組、朝也と伸太郎はE組だった。
新学期一日目終了後、親友三人は校舎玄関で待ち合わせ、一緒に校舎を出た。
「…あーあ、ついてないな。」
見事な春晴れの下、桜の花びらが舞う校舎玄関~校門間の道を歩きながら、朝也が欠伸しながらクールにぼやいた。
「ついてないって、何がだ?」
隆志の問いに、朝也は顎で傍らの伸太郎を指した。
「またこいつと同じクラスなったからさ。」
「…。」
伸太郎は無言でふくれた。
「ハハ。確かに、二年連続だもんな。」
笑いながら隆志は同情した。
「ああ、全くだ。」
五分の一の貧乏くじを二年連続で引くとわな。
「まあでも、神崎とも同じクラスになれたんだろ?ならいいじゃないか。」
「はあ?何言ってんだお前。」
二人の会話を小耳に挟んだ伸太郎が、朝也を指先でつついた。
「ツンデレは良くないよ朝也クン。」
からかうように言ったそのアホ面に、朝也は肩に下げていた鞄を思いっきり叩き下ろした。
「そういえば、」
ぶっ叩かれた頭を痛そうにおさえている伸太郎をおかしそうに見ながら、隆志は思い出したように言った。
「ウチのクラス委員長なんだけど、即効で紗奈に決まった。」
「…姉貴に?」
「ああ。」
「へー。新学期早々エンジン全開だねー姉貴は。」
感心したように伸太郎は言った。
「まあ双子とはいえ、アホのお前と違って紗奈は次期生徒会長候補筆頭と噂される程成績優秀で人望も篤いからな。」
「うるさいなー。」
朝也の毒舌に、伸太郎はまたプクーと膨れた。
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