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そんな私を見ていた父は、
「まだ早い。やめなさい」
と私に言った。
母は、泣くんでも喚くんでもなく、淡々と作業をこなす私を見て肩を震わせながら泣いていた。
そんな2人をじっと見ながら私はこう言った
「遅かれ早かれ荷造りは必要ですよね?」
私の瞳は何も宿していなかった。
自分でも何でここまで理解するのも処理するのも早いのかわからなかった。
が、これがいじめの原因の1つであり
物分りが良すぎてしまうが為
私は子供らしい子供では無かったのだ。
そんな私をどう思ったかはわからないけど
父が静かに私の頭に手を乗せて
「とりあえず、事が済むまではおじいちゃんとおばあちゃんちに避難してなさい。
こちらでちゃんと確かめてから…その後で
雪子が会いたければ会わせるよ…。だからそれまではいい子で待っていてほしい。」
(…ああ捨てる用意をするのね)
そんなことを思いながら静かに私は頷いた。
祖父母の家は山の中にあり、あそこは個人的に凄く気に入っているのだ。
もう行けなくなると理解れば
最後の観光じゃないけれど行きたいじゃないか。
見納めってやつをしたいじゃないか。
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