補習の教室にて

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「先生って、好きな人とかいるんですか?」  少し甘えた声と上目遣いで、私は探るように彼の表情を見た。恐らくこの角度なら、私の胸元は彼に見えてるはず。でもいいのだ。  今日は見せブラだし、キャミもそれなりに可愛いのを着ている。  すると、先生は自然な流れで視線を外した。なんだ。結構ウブじゃん。チョロ。 「いるよ」  などと笑っていると、先生が呟いた。 「え?」  そっぽを向いていた先生の黒い瞳が、私を貫いた。  その状態が、三秒くらい続く、 「え。え。え?」 「君みたいな――」  嘘でしょ? 「授業態度が不真面目じゃない子が好きだな……僕は」 「…………は?」  先生は頬杖をつきながら、悪戯っぽく笑った。  私は途端、頬が紅潮するのを感じた。  先生はくすくす笑っている。  「なに? ドキッとした?」 「はぁ!? んなわけないし!」  思わず机をぶっ叩いて立ち上がってしまう。何やってんだろう私は。顔が熱い。これじゃまるで、私が照れてるみたいじゃないか。  先生は大きく伸びをしながらさらに呟いた。 「五年早い」 「なにそれ。リアル過ぎてキモ」  今の私には、そのくらいの言葉しか返せなかった。悔しい。  こうして、私は返り討ちにあったのだ。
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