廃家の姿見

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ここから真っ直ぐに五、六メートル行って左手、脱衣場に入りその先が浴室。 ひとりはここで待って順番に行こうということになったんです。 でね、僕がじゃんけんで負けて先に行くことになったんですよ。おもちゃみたいなペンライト一本の明かりで暗い廊下を進んで、脱衣場を抜けて浴室に入って、二、三分ですかね? そこにとどまってから、Sのとこまで戻りました。 Sが「どうだった?」とか聞いてくるんですけど、僕てきには自分で確かめろって感じなんで、無言で廊下の先を指差して行けと合図しました。 Sは怖いからなのか楽しんでるのかニヤニヤしながら浴室に向かっていきましたよ。 するとね、Sの姿が見えなくなって一分くらいですかね? 「うわあぁぁ!」って声が聞こえたと思ったらSがね、走ってくるんですよこっちに向かって。で、そのまま僕の横をすり抜けて出てっちゃったんです。 なんだ、なんだと思い僕もSの後を追いかけるように出ていきました。 バイクのそばでSがしゃがみこんでてね、僕が話しかけても『やべえ、やべえ』ってボソボソつぶやいてるんで、とりあえずここから離れて落ち着かせようとSを立たせました。 気が動転しているSがバイクに乗るのは危ないと思い、近くのコンビニに歩いて向かいました。
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