1人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章
【胸の痛みにさよならを】
「これでいいんでしょ!?」
言いながら小林冴子は、受付カウンターの女の子に向かって投げつけるかの勢いで、会員カードをカウンターに投げつけた。瞬間、周囲の空気が凍った。自身の胸にもハッと痛みが走り、またやってしまったと自己反省しながら、冴子は投げつけた会員カードをそっと押さえ、言ってしまった。
「あぁ、ごめんなさいね、そういうつもりじゃなかったのよ。ただおばさんになるとどうしてもね。すぐにイラついたり、わかっているのに体がついてこないっていうかね──」
この言い訳も何回目だろう。自分で嫌だわと思いつつも、言葉は止まってくれなかった。
「次コースの更新費用、もう一度言っていただけます?」
最初のコメントを投稿しよう!