夏と怪談

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夏と怪談

やあ親友。 夏もまっさかりだが君は体調を崩したりはしていないか? 私の方はといえば朝礼で炎天下の中、つったって校長の話を聞かされてから頭痛が止まらない。 うう、ずきずきする……。 君、スポーツドリンクとか持ってないか?…ない? そうか、残念。 そもそもあの挨拶ってなんなんだ。 夏休みの健康な生活について話されている間、いっそ熱射病でぶっ倒れることができればクーラーの効いた保健室でスポーツドリンクを片手に昼寝を決め込めるかなと思い続ける時間はなんの役に立つんだ。 さらには願い虚しく重い足を引きずって教室に戻り汗がだらだら流れるままに受けた授業がはたしてどれほど脳味噌に残るだろうか。 正直、一人か二人死ぬまでこの学校というシステムは刷新されないと確信しているとも。 それが私や君、あるいはまだ見ぬ私の未来の恋人でないことを心から祈るしかない。 ところで親友、君は夏休みに配布される問題集の巻末を見ただろうか。 そう、涼しくなる手段というやつだ。 脇や鼠径部を冷やせば体が冷えるのはわかる。濡らしたタオルで体を拭いてから扇風機にあたるというのも、あえて熱い風呂に入るのも有効というのも納得する。 しかしだ。     
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