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怪談をしてみようというのはどうにも理解しかねるんだ。
さらにはそれに賛同した有志の怪談会なんてものを催そうとする馬鹿がいる。
誘われたけど怖い……いや、くだらなさすぎると断った。
いや、私は怖くないぞ。怖いわけないだろう。
そもそも夏とはどんな季節なのか。
春先に芽吹いた植物は今を盛りと青々とした葉を繁らせ、昆虫もまた我が世の春を謳歌している。
夏なのに春なの?なんていうのは無粋だ。
町を歩けばひまわり、川へ行けば水遊びに興じる子供、海はおそらくこれでもかと肌を露出した青春盛りの男女が戯れていることだろう。
ああ羨ましいとも! 羨ましいとも! ……チクショウ。
初夏のダイエットに失敗した私はここで地団駄踏みながら妄想にふけるのがお似合いだとも。
ああ、クーラーの効いた部屋で一日中でもごろごろしながら太陽を呪う言葉でも紡ぎ、怨嗟を織り成して見せよう。
だがそんななんの実りもない夏の一片も、我が親友が話し相手になってくれるなら、それはそれで貴重な夏の一日だ。強がってない!
さて怪談の話だったな。
先程言った通り、夏とは命が生まれて育つ時期だ。
地球の生き物はなぜこんな暑い季節を選びたがったのだろうか。春や秋でいいじゃないか。
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