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あの子ね……死んだの
家の中から年端の行かぬ子供たちが飛び出してきたのだ。
三、四歳ぐらいの幼女と十代前半のあどけない少女。予定外の闖入者にカップルは戸惑っている。
「お、お前たち、起きてきたのか?!」
慌てふためくバウチャーの悲鳴が聞こえるようだ。干してあった布を身体に巻き付けて、もう一枚をマクガイヤに投げる。
「子供がいるなんて聞いてない!」
アデリーヌは大声を張り上げた。近衛師団の動揺が感じ取れる。
急変を察したソネットが攻撃中止を命じる。
「アリス、お待ち!」
翼竜の視点から庵が飛び去った。
「何てことなの。無辜の信徒を殺したとなればハチソン教徒が黙っていない」
ソネットが激しくかぶりを振った。
「それだけじゃない。彼女のお相手、司祭じゃないわ」
鷹の眼を持つ元エリートパイロットは要点を見逃さなかった。マクガイヤ抱き上げた際に幼女の脛に小さな印があった。
「そこで停めて!」
アデリーヌが氷柱の画面を静止させた。拡大すると、めくれあがったドレスと可愛らしいフリルの間にマクガイヤと同じパターンの刺青が掘られている。
「この子たち、娼婦よ」
その指摘にソネットは蒼白した。念のために数を数えてみると。
「おお、なんてことなの!」
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