死闘!ギヌンガガップ!!

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魔王はカッと目を見開く。血走った眼球が激しく回転して受け入れがたい事実に焦点を合わせた。ねっとりした血が鼻の両脇を流れ落ちる。 「ばっ、馬鹿な? ベルゼビュートが、たかが幼齢のッ!」 そこで言葉を区切る。深々と食いこんだ矢は悪知恵の詰まった脳幹を貫き、中枢神経を根こそぎ破壊していた。荒い呼吸で息も絶え絶えに続ける。 「たかが……ゴフッ……ね、幼齢の……雌……ごと…きに……」 先ほどまでの強弁とは打って変わった弱音を吐く、魔王。原始的な下等動物のメス、億万年を生きる魔界の覇者に比べて塵ほどの経験もないケダモノ。殺す価値もない。だが彼の見識はことごとく間違っていた。 自信に溺れ彼は攻撃に集中するあまり防御を怠っていた。必要性すら感じていない。その慢心を突かれた。 強さを誇る以上は全方向に最強であらねばならない。 「敗れると……は……?」 誇り高き魔王の巨躯と背負った疑問符が地下迷宮の奥にたたきつけられた。 「脱出するわよ!」 戦姫はスカートの中が丸見えになるのも気にせず、階段を駆け上がった。お供の魔女も可愛らしい肌着をちらつかせながら昇っていく。 崩れ落ちる洞窟。歴代の勇者を屠った魔王の治世はこうしてあっさりと幕を閉じた。
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