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気温35度。
今年も夏がやって来た。
こんな日はクーラーの効いた部屋でゴロゴロしたいのに、クラスのグループで古戦場散策とは恐れ入った。
「帽子は好きじゃないんだけどなぁ……似合わないし」
そんな性格なので、生憎可愛いものを持ち合わせておらず、ニューヨークヤンキースの野球帽を母親に押し付けられる羽目になった。
私はそれを深くかぶる。
あー、クラクラする。
その時、ひょいと帽子を取られた。
私は風で飛んで行ってしまったのかと慌てて手をバタバタさせる。
「男っぽい帽子だねー。どう?」
同じクラスの彼は、そう言って私の帽子をかぶった。
そして、ゆっくり私の頭にかぶせ直した。
「なーんて。お前、帽子似合うじゃん」
あーあ。
クラクラする。
恋の熱だ。
そうして、あのギラギラ輝く日差しを眺めた。
「…なんだよ、もう」
あっつ。
私は、夏に呑まれる。
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