587人が本棚に入れています
本棚に追加
神藤が飲み物を買いに行ってしまった隙の事。
浴衣姿で一人で立っていた彩香を見て、偶然、花火大会に来ていたいじめっ子の一人が先輩に耳打ちすると、不良達数名が彩香の元にやってきて、周りを囲んだ。
何が起こるのか分からずキョトンとしていると、そのまま腕を引っ張られ、近くの境内まで連れていかれた。
どこに行っても夏休みの花火大会は浮かれたカップルで溢れているが、大勢の不良が公園に入ってくると、若者たちはそそくさと逃げて行った。
「美人じゃねーか。なんでいじめられてんだ、お前」
見た事のない長髪の男が言うと、彩香の頬に触れようとしたから、思わずその手を振り払った。
危険なんだろうな…とは思っていたが、複数の男に囲まれると、浴衣姿の女が逃げ切れるとは思えない。
救いを求めても、どうせ目を逸らされるのが落ちだろう。
諦めは早い方だった。
手を振り払われた男はニヤリと笑いながら、その手を舌で舐めた。
「おもしろいな。ゲームやるならこのくらい気の強い女がいいよな」
睨むわけでもなく、動揺するわけでもなく、どこか諦めたような表情で立ちすくむ彩香に、また別の男が背後から両腕を捕まえると、もうなんだかどうでもよくなった。
「レイプするんですか?こんな場所で?」
彩香が訊くと、男はまた笑う。
「別の場所がいいか?この人数じゃ、ホテルってわけにもいかないからな」
最初のコメントを投稿しよう!