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あまり学生時代にいい思い出は無い。
いじめられたこともあれば、登校拒否になった事もある。
学生時代の多くを病院で過ごしていたし、勉強も得意じゃなかった。
運動もそれほど得意ではなかったが、何となくできてしまう器用な一面もあったかもしれない。
一番嫌いだったのは音楽の筆記問題だ。
音楽なのになんで紙に答えを書くのだろう…と、いつも不思議に思っていた。
中学校と言えば、五十嵐も1年から3年まで同じクラスだった気がする。
なんとなくしか覚えていないのは、五十嵐の存在を認識したのが2年の2学期だったからだ。
中学に入学して間もなく、彩香は胃潰瘍で何度か入退院を繰り返していた。環境の変化が原因だった。義務教育だったこともあって、成績は悪かったし出席日数も足りなかったが、進級だけはできた。
久しぶりに登校した学校で偶然いじめの現場を見かけ、その仲裁に入り、彩香は同じクラスの不良たちに目をつけられた。
それからは毎日のように嫌がらせを受けたが、それでも彩香は気にしなかった。
自分以外の誰かが傷ついてるのを見る方が嫌だったから。
そんな毎日が続き、なんだかんだで無事、夏休みを迎えた。
平穏な毎日に安心していたのに、たまたま神藤に連れ出された花火大会で、クラスのいじめっ子たちと遭遇する。
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