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私たちに挨拶してくれたのは、あのイケメン歯医者さんだったのだ。
今夜はマスクをしていなかったから直ぐに分からなかった。
「見ちゃったね、素顔」
「うん、見ちゃったね」
マスクの下にはポッテリとした、たらこ唇が存在していた。
散々マスクを外したイケメン顔を思い浮かべてきたが、たらこ唇だけは想像していなかった。
「マスクってさ、怖いね」
「うん、怖いね」
マスクで隠れた素顔は想像で楽しむ方がいいみたいだ。
それでも先生がマスクをしていればイケメンなのは間違いないし、患者である私たちに気さくに挨拶をしてくれる優しい先生だ。
だから私もナナも歯が痛くなればあの歯医者さんに通っている。
《完》
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