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途中ナナが「コンビニに寄りたい」と言い出し、自転車を止めてジュースを買った。
「涼しくなってきたよね」なんて言いながら自転車に乗ろうとした時だ。
前からどこかで見たような人が歩いてきた。
あっ!
って思ったとき、向こうも私たちに気がついたみたいでニコッと笑顔を向けられた。
「今晩は」
「あ、こ、こんばんはー」
気さくな笑顔と挨拶を向けられたが、私たちは完全に躊躇っていた。
そのままその人はお店に入っていったのだが……。
「ね、見た?」
私は小さな声でナナに聞く。
「見た」
「見ちゃったね?」
「見ちゃったよね」
小さな声で話していたのが、自転車に乗りながら、
「見ちゃったね」
「うん、見ちゃったね」
と二人でクスクス笑っていた。
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