10人が本棚に入れています
本棚に追加
……ヤバいっ! まじイケメン!!
単純な私のテンションが一気にアップする。
「あ、あの苺香です」
「へー、素敵な名前ですね」
先生の目が優しく細められた。
もうそれだけでテンションMAX。
自分が嫌いな場所に来ていたのも忘れかけていた。
「右上の奥歯が痛いんですね?
じゃあちょっと見せて下さい。
椅子、倒しますね」
先生の言葉に今度はテンションが下がっていく。
「はい、口を大きく開けてください」
目を瞑り、言われた通りに口を開けていると何やらガチャガチャ音がして。
そしてシュッと歯に風を当てられた。
「んっ(痛っ)」
「ごめんね。でもこれかなり痛かったでしょ? 随分大きな虫歯だよ?」
「はあ……」
「麻酔して削りますね」
「えー、麻酔?」
歯茎にチクッと刺される麻酔も嫌いだ。
私のテンション、ドン下がり。
「麻酔しないともっと痛いよ?
高校生だから我慢できるでしょ?」
先生の目がちょっとキツくなった気がした。
「……はい」
仕方なく返事をした私だけど、先生の目が細められたのを見て、妙に安心する。
最初のコメントを投稿しよう!