ギフト

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郵便屋が去ったあと、玄関ドアを閉めると、ドキドキしながら、その封書を開けた。 帯がついている。百万円だ。 さすがに手が震えた。 そして、その封書には添え状が入っていた。 「滝沢寛治様」 俺は、その添え状を読む。 「拝啓、初夏の候、滝沢様におかれましては、その後お体はおかわりありませんでしょうか。」 時候の挨拶から始まり、そこには、延々と滝沢寛治に感謝する文面が綴られていた。 「滝沢様のおかげで、我が娘は一命をとりとめ、今は元気に過ごしております。」 医療関係の仕事をしていたのだろうか。それにしても、感謝の気持ちを示すには、高額すぎではないか? 「滝沢様に、ドナーの紹介をしていただけなければ、今の娘の姿は無かったでしょう。」 なるほど、ますます医療関係の可能性が高くなった。 手紙の内容を知れば知るほど、俺はまずいことをしてしまったと後悔した。 交番に届けようか。 いや、待て。俺は滝沢寛治を名乗り、一度はこの金をネコババしてしまったのだ。 確実に逮捕だろう。 でも、この金を俺が受け取ってしまったことがバレないだろうか。 この送金の主が、滝沢と今も連絡を取り合っていたとしたら? 俺はなんてバカなことをしたのだろう。 針のムシロに座らされた気分で数か月間過ごしたが、その後、何事もなく時間が過ぎた。     
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